医療保険には、乳がんや子宮がんなど、女性特有の病気を手厚く保障する「女性向け医療保険」が多く発売されています。
テレビで「スマート・ケア・レディース」「女性のための入院保険フェミニーヌ」といったCMを見た方もいらっしゃるかもしれません。
ということで、今回は女性向け医療保険について解説します。
女性向け医療保険は、一般の医療保険に「特約」をつけたもの
女性向け医療保険とは、一般の医療保険を主契約にして、「女性特有の病気に対する保障を厚くする特約」を組み合わせた保険のことです。
ですから、病気やケガを広く保障しながら、特に、異常分娩や、乳がんや子宮がんなど、出産や女性特有の病気になったときは手厚い保障を受けられるというものです。
「女性向け医療保険」といってもまったく保障が異なる医療保険ということではありません。
特約の保険料を多く支払った分、女性特有の病気になっときに一般の医療保険より給付金より多くもらえるという医療保険ということになります。
また、女性が喜ぶ(?)仕組みとして、何年かごとに「お祝い金」がもらえる商品も多く発売されているのが特徴です。
でも、実は「お祝い金」分、一般の医療保険よりも保険料を多く負担しているだけです。
ですから、当サイトが目指す必要最低限の医療保険というコンセプトからは、特に「お祝い金付」の女性向け医療保険は不要と言えます。
じゃあ、なんで女性向け医療保険が売れているの?
女性向け医療保険が売れています。売れている理由はなんでしょうか?
それは、女性が保険を見直そうとするタイミングが、結婚や出産前が多いことです。
一般的に保険を見直したほうが良いといわれるタイミングは、就職、結婚、出産、子供の独立、退職(リタイア)など、人生の節目のときです。
ちょうど見直しのタイミングで「そろそろ子供がほしいな」と思っている方であれば、無事に出産が終わるまでは、女性向けの保障を手厚くしようとする方が多いようです。
見直し時点で最もリスクの高い保障を厚くするというのは、保険の見直しの考え方としては正しいので、女性向けの保険が売れるのです。
でもチョット待って!出産に関する公的医療保険は充実しています。
出産では保険証が使えない・・・これは半分ホントで半分間違いです。
使えるか使えないかのポイントは通常分娩と異常分娩かということ。まず、通常分娩の場合、保険証は使えません。
それは健康保険は病気やケガを保障するものであって、通常の出産は病気ではないため対象外と決まっています。
ただし、出産までの妊婦健診は自治体のクーポンを使って無料で受診することができます。
また分娩費や入院費は3割負担の対象ではないものの、健康保険から出産育児一時金として42万円が出ますので、足りない分を病院に払えばいいので自己負担は多くはありません。(詳しくはこちらの協会けんぽHP)
なお、帝王切開など異常分娩であれば3割負担の対象になりますし、高額療養費の対象にもなってきます。
それから、異常分娩であっても妊婦健診ではクーポンも使えますし、もちろん、出産一育児時金も出ます。
つまり、通常分娩・異常分娩に関わらず、出産で自己負担しなければならない金額はあまり大きくはありません。
ですから、漠然と出産リスクに備えるという理由だけでは女性向け保険に入る必要はないでしょう。
じゃあ女性向け医療保険は入らないほうがいいの?
結論から言うと、積極的に女性向け医療保険に入る必要はないでしょう。
ただし、年を重ねるにつれ「出産のリスク」や「乳がん・子宮がん」の発症率は増えてきます。
ですから、例えば「高齢出産はいろいろ不安が多いので、万一のときにお金で困りたくない」と思う方も多いでしょう。
医療費の負担は少なくても、入院が長引けば医療費以外にもいろいろお金は必要です。
高齢出産の不安を軽減する手段として、女性向け医療保険に加入するのは正しい選択です。
気になる保険料ですが、年齢にもよりますが「女性特有の病気に対する保障を厚くする特約」だけの保険料は、1ヶ月あたり数百円から設定されています。
いまの加入している医療保険に特約が付けられるなら、保障内容と保険料のバランスで決めれば良いでしょう。
もし特約が付けられないならば、解約して入り直すことになりますが、解約するまえに、本当に女性向け医療保険に入る必要があるのか、よく考えてから決断しましょう。
ただ、繰り返しになりますが「お祝い金」は不必要ですので、付帯していない保険にしてくださいね。